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 2011年年末に思うこと

2011年12月21日 
  

2011年年末に思うこと
暮れも押し迫り、まもなく2012年が始まろうとしています。
今年は我が国にとって困難な1年でした。3月11日の地震、津波により一瞬にして多くの人命や家が失われ、続く福島第一原発事故と放射能汚染という未曾有な事態により、住み慣れた土地を離れざるをえない多くの方々が、困難な状況から未だ回復できない状況にあります。こころより哀悼と、早期の復旧をお祈り申し上げます。
MICは去る11月11日より25年目の年を迎えることになりました。弊社がこの四半世紀を過ごすことができましたのもひとえに皆様のご支援と、ご鞭撻のお陰と心より感謝申し上げております。


1987年会社設立
1987年という年はソ連のゴルバチョフ首相が渡米し、アメリカのレーガン大統領と会談し、冷戦時代の雪解けと、ソ連崩壊の序奏が始まった時期です。一方、経済面ではドルが円に対して137円をつけ、円高対策として内需拡大のための金融緩和が行なわれ、バブル経済で日本中の不動産価格が急騰し、2週間で中古マンション価格が数十パーセント上るような事態もありました。また、今年その天才的創造力を惜しまれ世を去ったスティーブ・ジョブスがAppleを去って、現在のApple OS XのベースとなったOSを開発したNext Computerを設立し、Toy Story を作ったPixerを買収した翌年に当たります。
この様な時期に弊社は設立されましたが、ふと当時われわれの周りにあった’もの’や’ことがら’が、今は無いことに思い当たります。読者の皆様もそれぞれ多くの思い出をお持ちだと思いますが、仕事の場面での記憶をさかのぼってみると、まず思い当たるのがワープロです。当時親指変換のオアシスワープロなど、日本ならではのワープロが仕事の現場にありました。液晶モニターや、CRTディスプレーに慣れない手つきで「かな」キーから入力された文字が表示されます。打ち終わった原稿をラインプリンターで出力し、その原稿をフロッピーに保存して机にしまっておきました。
こうして完成した原稿を印刷屋さんに渡すと、彼等は写植屋さんに行き、大きな日本語タイプライターのような写植機で印刷用の印画紙を作成していました。この頃は「写植」という看板を掲げた事務所を街角によく見かけました。
現在、これらの懐かしいものは殆んど見ることはありません。
年表では1987年にNTTが携帯電話を発売したとあります。大きな肩掛けの箱に入った、受送信機に電話が付いているものでしたが、自動車ではこの受送信機をトランクに入れ、アンテナを付けて走っていました。この様な携帯電話は1990年代一杯使われていましたが、2000年になると、手持ちの携帯電話になり、アンテナを付けて走る車も見当たらなくなりました。


2011年
今日、自分のPCで明朝体 、ゴシック体等あらゆるフォントを駆使したドキュメントを作成し、簡単にカラーレザープリンターへ出力することができます。違いはその出力物の内容とデザインの良し悪しだけです。また、印刷物にする場合は、そのデータを印刷屋さんのオンデマンドサービスに頼むと、遅くとも次の週にはできあがります。
携帯電話はスマートフォンに代わり、単なる電話機からパーソナルなデータ端末に急速に変化しています。このスマートフォンや、タブレットにより簡単にあらゆる情報、映像、音楽に接することができる様になってきました。


スティーブ・ジョブス
今日の様に激しく変化する現代から、25年先の我々の生活を考えると我々の想像を超える部分があります。振り返って見ると一人の天才によって随分未来が変えられることに驚きます。先にお話した写植の業界も、WSIWIGのディスプレイと、Postscriptと呼ばれる文字表示をしなやかに見せるアウトライン機能を持ったMacと、それに対応したプリンターがもし無ければ写植業界は形を変えて存在していたかもしれません。また、スマートフォンの先駆けのiPhoneがここまで多くの情報を小さなディスプレイから見せることができるのも、Appleが且つて失敗したNewton padが無ければ、その開発は遅れ、二つ折りの携帯電話は通信端末としてその寿 命を永らえたかもしれません。


2036年
さて、これから遠い霞の先に見える25年後の2036年。われわれの生活を、自分がスティーブジョブスになったつもりでポジティブに予想をしてみようと思います。


サーバー、ストレージはどこに
現在の企業組織におけるコンピュータシステムのハードウエア資源の大きな要素として、CPU、ストレージとネットワークがあります。近い将来、サーバー用CPUに使用されるLSIの線幅は10nm、5nm、更には、サブ・ナノメーターと細くなり、LSIの集積度はますます高くなります。現在のスーパーコンピュータが数十から数百分の1のサイズになり、1つのLSIに収納される程度になります。また、ストレージも単位面積当りの容量が現在の数十倍から数百倍の密度になります。ネットワークもLAN/WANとも40GbE以上の大容量帯域が広く使われます。
CPUの高密度化、ストレージの大容量化、ネットワークの高速化が25年後には実現しています。大半のことは現在のスマートフォーンのような携帯タブレットで完了します。そして、世界中に分散された企業情報は必要に応じて、ポータルサイトからアクセスすることができます。


ラッシュアワーはどこに
結果的ですが、オフィスに出勤しなくても自分の仕事のデータにはどこからでもアクセスすることができるようになります。朝夕の片道1時間の通勤時間や、通勤手当は企業にとって削減対象の経費になり、代わりに各社員の自宅への高速ネットワークや、高度化したスマートフォンの経費に代わっているかもしれません。


映画館へ
家庭のテレビは25年後には現在の8倍からそれ以上の高精細化が進んでいるでしょう。家庭の40インチのテレビで実際に肉眼で見る画像に近いレベルの映像をみることができるでしょう。
それでも、なお映画館に行く場合、車のナビゲーターに行き先を告げると、ナビゲーターは渋滞情報から最短時間の経路を表示します。OKと告げると、車は音もなくガレージから滑り出し、仮に居眠り運転をしていても、安全に目的地に到着します。
映画館では、肉眼で見る現実世界のような映像が上映され、360°の音響システムで自宅では味わえない臨場感を満喫することができます。


安くて簡単な世界一周
世界一週ができる航空会社はStar Aliance航空とOne World航空の二つになり、お互いにサービスと価格を競い合っています。クラウド化された座席予約システムは世界のどの端末からでもログインすることができ、安くて早い便を選び、目的地に簡単に行くことができます。目的地でのホテル予約、エアポート、電車やバスの乗り方、ホテルまでの歩き方のガイドはスマートフォンで充分です。勿論、世界各国の人々との会話もスマートフォンが助けてくれます。 学校では小学校以上の子供達は現在のタブレットの厚さとは比較にならない薄さで、紙の様なタブレットを持って登校します。学校で教える授業は、実習実技が中心になります。タブレットで調べ
ることができる内容は自己学習でカバーし、興味のある科目やテーマはどんどん専門的な知識を深め、同時にその周辺の知識も深めて行きます。


国際化と高齢化社会
今日の日本経済を支える大手、中堅製造業の多くは生産量の一定の割合を海外の設備に依存するようになっていると思います。25年後には日本のGDPの50%は海外の工場が生産し、為替の変動を吸収し、資本収支でその利益を日本に還元するようになります。若者は海外で仕事をするようになり、勤労世代の国内人口が減少することになります。
一方、今日不治の病と言われた病気も、治療薬や簡単な手術で直すことができます。たとえ、一部の臓器を失っても、ES細胞による再生手術により直せるようになります。その為、 平均寿命は大幅に延び、お年寄りが電車内や、喫茶店で紙の様なタブレットで読書をする光景が見られます。
25年後の我々の生活を想像するときりがありませんが、今年その才能を惜しまれ去って行ったスティーブ・ジョブスならどんな想像をしていたでしょうか?
人間社会は常に新しいイノベーションを生み出し、変化して行きます。
当社は今後とも、お客様のイノーベションのお手伝いができる様に、日々新たに前進して参りたいと考えています。

2011年12月21日

エムアイシー・アソシエーツ株式会社
代表取締役 藤井 道雄