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CLASTOR2100が実現するクラウド時代のストレージソリューション

〜HAファイルサーバーシステムとディザスターリカバリーの実用例〜

2011.09.15 

 

iconはじめに
icon1. CLASTOR2100ネットワークストレージアプライアンスについて
icon2. ファイルサーバーアプライアンス:
CLASTOR2100-WS によるフェールオーバークラスターシステム

icon3. フェールオーバークラスターシステムでのドライブマウント
icon4. CLASTOR2100-WS クラスターシステムのCDPバックアップ
  4.1. クラスターシステムのバックアップ構成
  4.2. バックアップデータのマウント
icon5. バックアッップデータのリプリケーション
icon6. ディザスターリカバリー
  6.1 ベアメタル(Bare Metal)の作成
  6.2 システムとデータの復旧
iconむすび   
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はじめに
クラウド時代、企業内データを保存するファイルサーバーの重要性は増大しつつあり、ファイルサーバーの選択や、その構築は企業組織内の基幹システムにおいて重要な位置付けになってきました。そのため、単に充分な容量を持つファイルサーバーというだけでなく、24/7の高い稼働率と、堅牢性が求められようになりました。しかし、震災等の大災害時にはシステム稼動を維持することが困難な状況となり、いかに堅牢なシステムといえどもデータへのアクセスができなくなってしまいます。このような場合でも、企業組織はその事業を継続するために、保存データに対する継続的なアクセスを保証しなくてはなりません。
このような災害や大規模な停電といった不測の事態でも緊急なシステム復旧と継続的なデータへのアクセスを可能にするディザスターリカバリー機能がネットワークストレージに求められつつあります。
本稿では、今日のビジネス環境におけるプライベートクラウドを支える高信頼性ネットワークストレージサーバーとして、弊社がご提供するCLASTOR2100-WSを使用したHAファイルサーバーシステムと、そのHAファイルサーバーの継続的バックアップと迅速なディザスターリカバリーを可能とするCLASTOR2100-DP CDPバックアップシステムによって構築されるネットワークストレージソリューションをご紹介いたします。

 

1. CLASTOR2100ネットワークストレージアプライアンスについて
CLASTOR2100ネットワークストレージアプライアンスは、弊社が今年6月に販売開始をいたしました4種類のネットワークストレージです。ファイルサーバー(WS)、ブロックレベルでファイルアクセスが可能なファイル共有サーバー(MS)、iSCSIターゲットストレージ(LX)、CDPバックアップストレージ(DP)の4種類のネットワークストレージです。
アプライアンス化されたCLASTOR2100ネットワークストレージはそのハードウェアプラットフォームとして、高性能Xeon CPUと12GBの大容量メモリーを標準搭載し、更には、ネットワークストレージとして不可欠な高性能で拡張性の高い、SAS 6Gb x 4レーンのRAIDストレージインターフェースを標準装備しています。また、ネットワーク経由で大容量のデータに対し、ストレスを感じさせないデータアクセスを可能にする10Gb イーサネットポートと1Gb イーサネットポートを各2ポートづつ標準装備しています。これら10Gb / 1Gb の高速イーサネットのペアーポートを二重化し、一つのIPとしてネットワークを構築すると、常時は2倍のバンド帯域をデータトラフィックに使用し、万一のネットワーク系の障害が発生した場合は、片系でのサービスを継続することができます。この様にCLASTOR2100アプライアンスプラットフォームはネットワークストレージとしての要件を兼ね備えたハードウェアです。
更に、オプションとして、8Gb FCポートを複数装備することが可能ですので、クラスター構成のネットワークストレージを無理なく構築することが可能です。

図1 CLASTOR2100

図1 CLASTOR2100

 

2. ファイルサーバーアプライアンス:
CLASTOR2100-WS によるフェールオーバークラスターシステム

CLASTOR2100-WS を二重化してフェールオーバークラスターファイルサーバーを構築する場合、CLASTOR2100-WS 1台がアクティブ、他の1台がパッシブスタンバイという位置付けになります。アクティブ側のシステムに障害が発生した場合、スタンバイ側に既存の処理が透過的にフェールオーバーすることで、クラスターシステムの高い耐障害性を実現します。
ストレージシステムを2台のCLASTOR2100-WS の共有資源として下図のように構成します。


図2 フェールオーバークラスターシステム構成
図2 フェールオーバークラスターシステム構成

  • CLASTOR2100-WSは2台で構成されています。1台はアクティブ、他の1台はパッシブ/スタンバイのクラスターノードになります。
  • それぞれのCLASTOR2100-WSには、Windows VISTA以降のファイルシステムで採用されたシステムのブートマネージャーを保存するSystem Reserved Partition(SRP) と、システムブートローダーのある起動ディスク C:があります。
  • 2つのクラスターノードは、クラスター内のメタデータ、ジョブのトラックデータを記録するクォーラム (Quorum) ディスクを共有します。クラスターノードのフェールオーバーが発生した場合、テイクオーバーしたノードにクォーラムディスクの管理権が移動します。
  • クラスター用ストレージとして、ユーザーデータを保存する共有ストレージ領域を設定します。クォーラムディスクと同様に、フェールオーバーが発生すると管理権がノード間で移動します。

クォーラムディスクとデータ領域はクラスターシステムの耐障害性を左右する重要な役割を持ちます。従って、このストレージには高性能で堅牢な冗長性を持つストレージをお勧めします。フェールオーバークラスターシステムを構築するには高性能サーバーの他、Microsoft社のWHQL(Windows Hardware Quality Lab)で認定済みのストレージシステムが必要です。例えば、弊社が販売する8Gb FC RAIDシステム XRS F6512EはWHQLで認定済みで、問題無くWindows Storage Server 2008 R2のクラスターシステムに組込むことが可能です。認定が無いストレージを使用した場合、たとえWindows server 2008 R2での動作に問題が無くても、クラスター構成では共有ストレージとすることができません。
XRS F6512Eでストレージを構築する場合、下図のようにCLASTOR2100-WSへ XRS F6512Eの2つのコントローラーからそれぞれ2本ずつ8Gb FCのケーブルで接続されています。この2系統のFCチャンネルに対し、Windows Server 2008 R2のMPIO(Multi Path IO)というバスの仮想化ドライバーにより、それぞれのCLASTOR2100-WSからF6512Eに対して1つのチャンネルでストレージに接続されているように見えます。ストレージコントローラーや、FCバスの経路に障害が発生した場合でも、他の経路を介してストレージへのアクセスを継続することが可能です。

図3 HAファイルサーバーシステム構成
図3 HAファイルサーバーシステム構成

また、LANに接続するネットワークおよび、アクティブノードの稼動状況をチェックするハートビート用のネットワークも総て二重化し、仮想化します。
以上の構成でCLASTOR2100-WSアプライアンスを使用したネットワークストレージシステムはエンタープライズクラスの堅牢なファイルサーバーとしてご利用いただけます。

3. フェールオーバークラスターシステムでのドライブマウント
フェールオーバークラスターを構築した場合、クォーラムやデータボリュームは両方のノードと物理的には接続されますが、論理的には下図のようにアクティブノードにはクォーラム、データボリュームがマウントされます。一方のパッシブノードではこれらのボリュームはマウントされません。


図4 アクティブ/パッシブボリューム構成
図4 アクティブ/パッシブボリューム構成

上記のシステムで左のアクティブノードに何らかの障害が発生した場合、パッシブ側のCLASTOR2100-WSがアクティブ側の処理を透過的に引継ぎ、クライアントへのサービスを継続します。その場合、共有のストレージ資源であるデータボリュームとクォーラムディスクは右側のCLASTOR2100-WSへマウントされます。

4. CLASTOR2100-WS クラスターシステムのCDPバックアップ

4.1. クラスターシステムのバックアップ構成

CLASTOR2100-WS でのフェールオーバークラスター構成のファイルサーバーを保護するために、CLASTOR2100-DP CDPバックアップアプライアンスを使用することで、更にシステムの可用性を高めることができます。また、CLASTOR2100-DPは企業の内部統制の一貫として要求される過去データへの容易なアクセスと、万一の場合の迅速なシステムとデータの復旧、事業継続のためのディザスターリカバリーに対するソリューションを実現します。

図5 クラスタシステムのCDPバックアップ構成
図5 クラスタシステムのCDPバックアップ構成

CLASTOR2100-DPはフェールオーバークラスターを構成する2台のCLASTOR2100-WSを同時に保護対象のサーバーとすることができます。それぞれのCLASTR2100-WSはWindowsのSnapshotサービスにより、Copy-on-Writeのスナップショットを取り続けます。また、それぞれのCLASTOR2100-WSにはバックアップエージェントがインストールされ、保存されたスナップショットデータを定期的にCLASTOR2100-DPに転送します。

4.2. バックアップデータのマウント
CLASTOR2100-DPでは、それぞれのボリュームの初期イメージ取得から始まり、設定されたインターバルで取得されたスナップショットデータにより、各インターバルの時点毎のデータを再現することができます。CLASTOR2100-DP自身のExplorerウィンドウに仮想的にバックアップ対象ボリュームのデータをマウントし、アプリケーションやコピーコマンドでのデータへの操作が可能です。また、CLASTOR2100-DPにマウントすることが可能なネットワークストレージに対し、ある時点のデータを書き出すことも簡単に実行することができます。
これらの機能により、緊急な過去データの再生等、内部統制に求められるデータの保存と、再生に関する課題を解決することができます。

 

5. バックアップデータのレプリケーション
CLASTOR2100-DPは保護対象サーバーのバックアップデータをネットワーク経由で他のCLASTOR2100-DPに複製でき、複製されたバックアップデータから緊急時にデータの再生と、システム復旧を行なうことが可能です。例えば、プライベートクラウドのフォレスト内のサブフォレストの地域に重大な災害が発生した場合でも、他のフォレスト環境で類似のシステム構成を構築可能であれば、この複製バックアップからシステムを再構築することができます。

図6 レプリケーションの構成

図6 レプリケーションの構成

6. ディザスターリカバリー

6.1. ベアメタル(Bare Metal)の作成
CLASTOR2100-DPでは保護対象サーバーのシステム全体の復旧の方法として、ベアメタルリカバリーと呼ばれる手法があります。下図のようにシステムディスクの基本部分をISOイメージとしてファイル化し、DVD等のシステム起動可能なメディアに保存しておきます。

図7 ベアメタルリカバリー
図7 ベアメタルリカバリー

6.2. システムとデータの復旧

ベアメタルデータにはそのシステムの基本的な情報が書込まれます。全く別のハードウェアで同一のシステムを復旧する場合、ベアメタルで起動したシステム環境に対し、 CLASTOR2100-DP に保存されたバックアップデータからシステム全体のデータを復旧することができます。
バックアップデータからの復旧には2通りの方法があります。

  1. 復旧用のボリュームにCLASTOR2100-DP のバックアップデータから直接データを再生する方法。
  2. 復旧用データとして、CLASTOR2100-DP からイメージファイルとして他のネットワークストレージに保存し、Snapshotデータの更新に合わせてイメージファイルが更新されているデータから、復旧用ボリュームに再生する方法。

以上、2通りの方法がありますが、2の復旧用イメージデータからのボリュームの再生は、1のバックアップデータからの再生に比べて短時間でシステムを復旧することができます。

 

むすび
本ホワイトペーパーでは弊社が販売するCLASTOR2100-WSファイルサーバーのフェールオーバークラスターシステムと、そのクラスターシステムに対するバックアップソリューションとして、CLASTOR2100-DP CDPバックアップアプライアンスの実用例をご案内いたしました。
近年、プライベートクラウドという名前でデータを集中管理する傾向にあり、企業組織におけるファイルサーバーの重要性もますます増大してまいりました。一方で、どのような災害時でもシステムを迅速に復旧し、事業を継続することがITマネージャーに課された使命となりつつあります。このような課題に対し、CLASTOR2100の各ネットワークストレージアプライアンスはソリューションをご提供できるものと確信いたしております。

【関連リンク】
【製品紹介】ファイルサーバーアプライアンアンス CLASTOR2100-WS
【製品紹介】バックアップリカバリー・アプライアンス CLASTOR2100-DP



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