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映像制作ワークフローにおけるデジタルデータパイプラインと
CLASTOR2100-MSネットワークストレージ

2011.12.21 

InterBEE 2011での感想
映像制作ワークフロー
多様な送出手段
ファイル共有ーファイルレベルとブロックレベル
アイコンワークフローに於けるデータパイプラインの考え方
アイコンCLASTOR2100-MSのご紹介
アイコンmetaSANとmetaLANライセンスをバンドル
アイコン業務拡大に合わせてシステムを拡張
アイコンバンド帯域の割当と拡張
アイコンストレージ拡張
アイコンSANゲートウェイ ( アクティブ-アクティブクラスター )
アイコンドメインコントローラとアクセスコントロール
アイコンむすび
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InterBEE 2011での感想

先日、国際画像機器展(InterBEE)が幕張メッセで開催され、国内外の映像機器、音響機器ベンダーが多く 出展し、多くの映像業界、放送業界の方々が会場を訪れました。昨年までの3D映像に関する出展が少し 落ち着き、新たに、4Kや8Kの超高精細映像、新しい映像カメラや、コンテンツアーカイブに関する出展 が目を引きました。
また、従来のテープベースでの映像編集からファイルベースへの移行が急速に進展しており、映像制作 ワークフローにも、ネットワークストレージと高速イーサネットを使用したソリューションが見受けられ ました。本稿では、このような映像編集におけるデジタル化の波に関し、弊社が発売しました CLASTOR2100-MSのご紹介を兼ねて、デジタルワークフローを考えてみたいと思います。

映像制作ワークフロー

近年、映像制作の環境は大きく変化しつつあり、HD-CAM等のビデオテープベースの素材の取り込みから、USBディスク等に保存された素材映像をデジタルファイルとして入稿されるケースが多くなっています。更に、カメラ自体がデジタルデータファイルとして出力するものが提供されるようになり、ノンリニアでのオフライン編集、マスク処理、オンライン映像編集、3DCGを使用したVFX映像合成など、デジタルでの映像クリエーションは増々高度化してきました。
このように急速にデジタル化が進んで行く映像業界で、クリエイターの創造力を引き出し、効率的に作業を行なう為には、クリエイターの発想の連鎖を維持し続けることが重要だと考えられます。そのためには、 生産的とは言えない大容量映像データの転送時間をできるだけ減らし、コンピューター処理を効率化することがデジタルワークフローでのキーになると考えられます。
また、VFXによる映像制作が進んだ今日、従来CG担当者と、映像編集担当者がパーティションに隔てられそれぞれが別々のワークスペースで作業を進めていた環境から、VFX合成作業の各段階でもCG担当者とオンラインエディターが共通のワークスペースでのインタラクティブなコラボレーション作業を行なうことにより、より創造的で、効率的な制作作業を実現する好例が見られるようになりました。


多様な送出手段

完成された映像に関し、近年多様な送出メディアが出現してきました。今年7月にはアナログTVは地上波 デジタル放送に切り替わり、BS/CSのチャンネル数も今年春から増設され、多様なチャンネルを選べるよ うになりました。更に、既存のCATVでも各種のサービスを提供していますが、テレビ家電業界がはじめ た「アクトビラ」や、NTTが始めた「ひかりTV」等、家庭のデジタルテレビに有線で提供するサービス も次第に一般家庭に広がりつつあります。一方、映画も徐々にデジタル化が進み、シネコンへのフィルム を使わず、デジタルファイルでの映画配給も開始されています。
このようなコンテンツ送出の多様化に伴い、作成された映像のさまざまなフォーマットに対応するプロセ スがデジタルワークフローの重要なテーマになってきました。

ファイル共有ーファイルレベルとブロックレベル

通常、素材データをファイルサーバーで管理し、アクセスする場合、ファイルサーバー上のファイルに対 して直接アプリケーションからのアクセスは余り行なわれていないと思います。実際は、ファイルサー バーのファイルは一旦それぞれのワークステーションのローカルディスクにコピーし、ブロックレベルで アクセスをします。この場合、ファイルのサイズによりますが、データの転送には一定の時間がかかりま す。例えば、1Gbのネットワークで200GBのデータを毎秒50MBで転送するには1時間以上待たなくては なりません。その間、クリエイターはデータ転送が完了するまで待ち状態になります。デジタルコンテンツのワークフローにおいては、このネットワーク上にデータを搬送する時間は転送に懸かる時間のみならず、クリエイターの発想の連鎖を切断することになり、生産性を著しく悪化させることになります。

ワークフローに於けるデータパイプラインの考え方

最近、映像、CG系の専門雑誌にCG、VFXでのワークフローというテーマで制作パイプラインに関して様々なネットワークシステムが紹介されるようになったきました。例えば、映像編集においては、撮影された映像のインジェストと呼ばれるコンピュータへのキャプチャーや、映像ファイルのコピーからそのワークフローが始まります。続いて、タイムラインベースのオフライン編集、CG等を含めたオンライン編集とカラーグレーディング、要求仕様に対応したコーデックでの映像データのファイル書出し、または、テープ書出という一連のワークフローがあります。また、この間素材データのマスクや、カラーコレクション編集データに関する予備チェックは絶え間なくおこなわれます。そして、素材データは、プロジェクトデータと共にオンライン編集、VFX合成に引き継いで行くことになります。しかし、素材データは今日の高解像映像の要求から、ますます大容量化しており、ネットワークで搬送することが難しくなってき
ました。通常のネットワークでのデータ搬送では多くの待ち時間を要することになり、効率的な制作パイプラインとは言い難いことになります。そこで、SANストレージを採用したデータ共有環境を構築して、創造的で高い生産性を実現するサイトが出現するようになってきました。
弊社でもSANストレージとmetaSANファイル共有ソフトを用いて、映像制作パイプラインを構築され高い生産性をあげているユーザー様がいらっしゃいます。しかし、SANストレージをFCネットワークを介して各ワークステーションと接続するには、従来のネットワークとは別途に新規高速ストレージネットワークへの投資をしなくてはなりません。
このように、クリエータの皆様の創造性と効率性を高め、従来のネットワークインフラを利用して、高い生産性を引き出す制作パイプラインを実現するため、CLASTOR2100-MSがリリースされました。

 

CLASTOR2100-MSのご紹介

四つのネットワークストレージアプライアンスとして今年5月にリリースされたCLASTOR2100 ファミリー の中で、CLASTOR2100-MSはSANボリュームをLANクライアントがマウントを可能にする映像ワークフローの効率化を実現するアプライアンスです。通常、SANを構成するにはFC仕様のストレージ、SANスイッチ、SANメンバー毎のHBAアダプター、更に、光ケーブルとアダプターモジュールが必要になり、SAN構築の投資コストが高額になりがちです。
CLASTOR2100-MSはFCベースのSAN構築に投資すること無く、SANストレージをLANクライアントから共有ストレージとして、ダイレクトにアクセスし、ファイル転送の必要の無いファイル共有を実現します。
ネットワークに接続するワークステーションがSANストレージを持つCLASTOR2100-MSにアクセスし、ローカルディスクのようにマウントしたSANストレージに保存されたファイルに直接アクセスすることを可能にします。
映像素材のインジェストからカラーコレクション、オフライン、オンライン編集、エンコーディング等一連の映像編集のワークフローをデータコピーをすること無く共有することができます。
また、作成されたCG画像をVFXにする際の手直し等、共有ストレージで総てのプロジェクトメンバーがストレージを共有することができ、効率良い制作作業が行なえます。

CLASTOR2100-MS 映像編集ワークフロー

CLASTOR2100-MSはmetaSAN/metaLANというSANストレージ共有マネージャーを実装しています。metaSANが管理するSAN共有ボリュームを、複数のLANクライアントがローカルディスクとしてマウントすることを可能にします。SANストレージに直接接続されたCLASTOR2100-MSをSANネットワークへのゲートウェイとし、LANクライアントがSANボリューム中のファイルに対し、ブロックレベルでアクセスを行い、効率的なデータ転送を可能にします。

metaSANとmetaLANライセンスをバンドル

CLASTOR2100-MSはTiger Technologies社により開発されたSANファイル共有マネージメントミドルウエアmetaSANを実装し、6台のmetaLANクライアントをデフォルトでサポートします。metaSAN/metaLANのライセンスは3年間サポートのパッケージになっており、OSの変更やmetaSAN/metaLAN のアップグレードが実施される際には、サポートを受けたり、アップグレードすることができます。また、3年経過後でも、2年間有効の特別サブスクリプションを購入することができ、投資効果の高いパッケージとなっています。

業務拡大に合わせてシステムを拡張

CLASTOR2100-MSは1台のSANコントローラ(CLASTRO2100-MS本体)と6台分のmetaLANクライアントライセンスから構成されています。ファイルベースの素材データの取り込みの場合は、インジェストに於けるデータ転送の問題はありませんが、インジェスト用のボードを使いテープベースの素材の取り込みを行なう場合、SANストレージのバンド帯域を確保する必要があります。その場合、SANストレージに直接接続されるSANメンバーを追加することができ、更には、metaLANに対するサービスバンド帯域を追加されたSANメンバーにより拡張することができます。

バンド帯域の割当と拡張

CLASTOR2100-MSはSANネットワーク、LANネットワークのバンド帯域幅を各メンバーに任意の幅で割り振ることができます。具体的にはネットワークの総帯域から、ミッションクリティカルな業務を担当するメンバーには高いバンド帯域を割当、比較的低速なデータ転送でもかまわない場合や、転送時間に制約のないワークステーションには上限、下限値を低めに設定することができます。このように、総バンド帯域を業務内容に応じて割り当てることができますので、或るワークステーションのみが総バンド帯域の大半を偶然占有し、他のワークステーションの業務を阻害したりすることを防ぐことができます。
更に、CLASTOR2100-MSには10Gbイーサネットポートが2本と1Gbイーサネットポートが2本標準装備され、大きなネットワーク性能を持っています。10Gbイーサネットポートを持つL2以上のネットワークスイッチを使用し、Link Aggregationを設定することで、複数のデータストリームに対して高い転送性能を発揮します。
通常、TCP/IPを使用したファイルサーバーに大容量データ転送や高速IO要求が発生し、ネットワークの帯域が独占される場合があります。この結果、他のネットワーククライアントに対してフェアにサービスすることが難しくなり、ミッションクリティカルなアプリケーションを担当するワークステーションやサーバーの処理が極端に悪化する場合があります。CLASTOR2100-MSではこのような問題を回避することができます。CLASTOR2100-MSが提供するネットワークのバンド帯域幅から、各ワークステーションが使用可能なバンド帯域を割当を行い、システム全体でワークロードバランシングを設定することができます。

ストレージ拡張
CLASTOR2100-MSに接続するストレージとして、内蔵の6Gbx4 SASのインターフェースを持つRAID コントローラーに外部ストレージを接続する場合と、8Gb FCのインターフェースを持つHBAに外部RAID コントローラー搭載のSANストレージを接続する場合との、二つのSAN構成から選択することが可能です。
更に、CLASTOR2100-MSはストレージ筐体に追加ドライブを増設することで、最大で244TBまでストレージ容量を拡張することができます。また、FC SANストレージの場合、SANスイッチを採用することで、数百テラバイトのストレージ環境を構築し、SAN共有ストレージとすることが可能です。

 


SANゲートウェイ ( アクティブ-アクティブクラスター )
8Gb FCでSANストレージを構成した場合、(CLASTOR2100-MS + metaLANクライアントx6)のセットを増設し、SANボリュームを共有することができます。万一、CLASTOR2100-MSの一台に障害が発生した場合、そのCLASTOR2100-MSを経由してSANにアクセスしていたLANクライアントは、他のCLASTOR2100-MSにそのアクセスを自動的に引き継がれ継続されます。このように、CLASTOR2100-MSはアクティブ-アクティブ・クラスタ型SANゲートウェイとして、ミッションクリティカルな業務の継続を可能にします。


ドメインコントローラとアクセスコントロール
ネットワーク内にドメインコントローラが存在し、各クライアントのログイン認証、ストレージへのアクセス許諾がActive DirectoryやOpen Directoryによって管理されている場合、WindowsメンバーはActive Directoryの認証システムとACL(Access Control List)をそのまま使用し、SANファイル共有環境でのアクセス認証を行なうことができます。一方、Mac OSXクライアントはOpen Directoryが立っているドメインのアクセス認証を参照し、ストレージへのアクセスを制御することができます。
metaSANは2012年にバージョン5.0がリリースされる予定です。このバージョンではWindows クライアントも、Mac OSXクライアントもActive Directory のドメインコントローラでのアクセス制御をそのまま使用し、SANボリューム内ファイルフォルダーに対する、アクセス権管理、クオータ管理を行なうことができるようになります。


むすび
デジタルコンテンツが急激に各媒体に配布され、送出されるようになった今日、コンテンツクリエイター やエディターの創造性と制作システムの効率性がビジネスの成否に於いて重要な鍵をにぎることと確信しています。
CLASTOR2100-MSは従来のファイバチャンネルネットワークベースのSANファイル共有から、既存の1Gbイーサネットを利用して、SANストレージでのファイル共有インフラを映像制作メンバーに提供します。CLASTOR2100-MSは効率良い制作パイプライン環境を少ない投資で実現することのできる、映像ワークフロー用データパイプラインソリューションです。
( 製品に関する詳細はhttp://www.micassoc.co.jp/clastor2100/clastor2100-ms.htmlをご参照ください。)

【関連製品】
【製品紹介】ブロックレベルファイル共有プライアンス CLASTOR2100-MS
【製品紹介】選べる4つのネットワークストレージ・アプライアンス「CLASTOR2100」
【製品紹介】高速SANファル共有ソフトウエア metaSAN
【製品紹介】マルチポイントゲートウエイ metaLAN

【関連資料】
【カタログ】映像ワークフローのSAN ファイル共有システムパッケージ
【技術資料】映像制作ワークフロー検証 「DMS-2000」とmetaSANを使ったSAN環境の構築
【導入事例】低コストで実現する高速SANファイル共有映像ワークフロー
【導入事例】超高精細4Kデジタル画像編集SAN環境


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