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業務継続のためのサーバクォーラム構成術
~ フェイルオーバークラスタリングで実現する高可用ソリューション~

2011.05.25 

1.はじめに
2.サーバの可用性
3.フェイルオーバークラスタリングを構成するには
  3-1.フェイルオーバーによる切換え
4.クラスタに必要不可欠クォーラムとは
icon5.データの可用性
  5-1.ファイルアクセスの仮想化
  5-2.データの複製(DFSレプリケーション)
  5-3.効果
  5-4.構成例
icon6.まとめ
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1.はじめに

今日、企業システムにおけるサーバーが果たす役割は大きくなり、益々重要性が高まっております。重要度の高いサーバーで障害が発生した場合、回復までの間に大きな損失を被る恐れがあるため、サーバーには24時間365日止まらない高可用性が求められています。

この障害に対し如何にダウンタイム時間を減らし運用継続を行う事ができるか、また増え続けるデータをいかに管理できるか、当社新製品であるファイルサーバーアプライアンスCLASTOR2100-WS の実用例をもとに、いくつかのソリューションでご紹介致します。

2.サーバの高可用性

サーバーの高可用性を実現するソリューションでWindows Server OSの標準機能にフェイルオーバークラスタリングと云う機能があります。
例えば、1台のサーバーで障害が発生した場合、別のサーバーが代わりにサービスを提供します。この事をフェイルオーバーと呼び、2台以上のサーバー構築をすることでフェイルオーバークラスタリングを実現できます。サーバーの高可用性を実現するソリューションでWindows Server OSの標準機能にフェイルオーバークラスタリングと云う機能があります。

フェイルオーバークラスタリング
フェイルオーバークラスタリングを構成するにはWindows Server 2008(R2)及びWindows Storage Server 2008(R2) Enterprise EditionまたはDatacenter EditionにてActive Directoryドメインに参加している事が必要です。
クラスタを構成するサーバーは2台以上の同一または類似したコンポーネントで構成された一連のコンピュータで、アクティブとスタンバイに役割を設けます。
このクラスタをより簡易的に構築する為に、フェイルオーバークラスタリングでは構築の初期段階で対象のシステム構成を検証するプロセスを実行する事によりでサーバー構成がクラスタに適しているのか確認ができます。

3.フェイルオーバークラスタリングを構成する要件
この章では、フェイルオーバークラスタリングを構成する為のシステム環境をご紹介致します。

ドメイン環境
ActiveDirectory ドメイン環境。
クラスター構築をする場合、対象のサーバーは同一のActive Directory ドメインにメンバーサーバーとして参加する必要がある。

サーバOS
Windows Server 2008(R2) および、Windows Storage Server 2008(R2) Enterprise Edition
またはDatacenter Edition。
*Windows Web Server 2008 および、Windows Server 2008 Standard は対応不可。

同一ハードウェア及びソフトウェア構成
クラスタを構成するサーバーは、ほぼ同じ構成のハードウェア構成が必要。
フェイルオーバークラスタリングのマネジャースナップインに含まれる構成検証ウィザードで全てのテスト(サーバー、ネットワーク、記憶域)に合格しなければならない。また、同一のソフトウェア更新プログラム(修正プログラム) とサービスパックのインストールが必要。

共有ディスク
Windows Server 2008のMSFC(Microsoft Failover Cluster) がサポートする外部ストレージであり、かつ当社RAID 製品で動作確認済みであること。
(以前のバージョンではサポートされていなかったフェイルオーバークラスタを構成できるインタフェースが拡張され、SAS(Serial Attached SCSI)とSAN(iSCSI/ファイバチャネル)をサポートしているため)

NIC
MSFC 自体は1ポートNIC での構築が可能だが、可用性を高めるためにパブリックLAN とは別のセグメントネットワークにアクティブサーバーとスタンバイサーバーとのHA(High Availability) 通信用に専用のNIC を推奨。

クラスタ用IP アドレスとホスト名
MSFCは、1台の仮想サーバーとして稼働するので、仮想サーバー用のIP アドレスとホスト名が必要。 (クラスタ構成では必須となり、アクティブサーバーの障害が生じてアクセス不能になった場合でも、同じアドレスを引き継いでサービスを継続、外部からのアクセスを切換わったサーバーに割り振って負荷分散を計ることができる。)


3-1フェイルオーバーによる切換え

フェイルオーバーによる切換え

  1. 上記の図では正常稼動時は共有ディスクはアクティブサーバからのみ見えるようになっており、スタンバイサーバから共有ディスクを見るとオフラインになっています。
  2. アクティブサーバの障害が起こった場合、フェイルオーバーが発生しアクティブサーバから見えている共有ディスクがオフラインとなります。
  3. アクティブサーバはスタンバイに移行します。
  4. 待機をしているスタンバイサーバは、アクティブサーバーがスタンバイに移行した事を検知すると、共有ディスクをオンラインにしアクティブサーバーへ移行しサービスが引継がれます。

*スタンバイサーバへ切換える前工程のサービス停止した状態では共有ディスクがオフラインになっ ている為サービスは停止状態になっています。その為、フェイルオーバー中にサーバーにアクセスしていた場合は、通信が切断されデータが破棄されます。
切換え時間は共有ディスクやクラスタ構成によりますが数十秒から数分掛かかります。

4.クラスタに必要不可欠クォーラムとは

クラスタ構成の情報をデータベースとして保存している記憶域をクォーラムと言います。この領域にはクラス
タの回復に必要な構成データを維持し、回復ログの形式で、クラスタデータベースに適用されたすべての変更
の詳細が含まれます。
クォーラムはフェイルオーバークラスタリングの構成によって、クラスタが許容できる障害の数が決まり、その
数を超える障害が発生した場合、クラスタは実行を停止しフェイルオーバーが開始されます。

クラスタに必要不可欠クォーラム領域

クォーラムはクラスタ構成により以下の4つのモードが選択可能です。

  • ノードマジョリティ:クラスタが奇数個のノードで構成されている場合。
  • ノードおよびディスクマジョリティ:クラスタが偶数個のノードで構成されており、共有記憶域
    が接続されていてアクセス可能な場合。
  • ノードおよびファイル共有マジョリティ:マルチサイトクラスタ構成またはExchange 2007 CCR
    クラスタで使用している場合。
  • 非マジョリティ(ディスクのみ): 旧バージョンのクラスタ共有クォーラムと同機能。

5.データの可用性

サーバー機能と同様にデータにも可用性が求められています。当社でも今までに何度か取り上げていますがWindows Server OSの標準機能である分散ファイルシステム(DFS)を下記にご説明したいと思います。

5-1.ファイルアクセスの仮想化

DFSは、ファイルサーバーへのアクセス方法を簡素化することにより、ユーザの運用コストを削減します。実際のフォルダの構造とは異なった仮想的な構造を組み立てることで、複数のサーバーが分散して存在するファイルやフォルダがあたかも一つのサーバーに存在するかのように見せることができます。 この技術を利用し、更にサーバーの可用性を向上させることが可能となります。

5-2.データの複製(DFSレプリケーション)

DFS レプリケーションは、サーバー上のファイルを他のサーバー上へリアルタイムに複製ができる機能です。万が一、サーバーがダウンした場合でも、もう一台のサーバーで継続的に運用が可能です。 ファイル転送ベースのレプリケーションと異なり、ブロック転送による同期を行なうのでネットワークを介して効率良く実行します。このように複製の効率向上により、WAN 回線経由のような離れた場所に置かれているサーバーとの同期処理が可能となります。 次の項目ではいくつかの効果をご紹介します。

5-3.効果

手間いらずのデータ保護/管理
マスタサーバ側のデータ変更が、自動的に複製サーバー側へ反映。

最新のデータを保持
レプリケーション運用により、ほぼリアルタイムにデータを保護することが可能。

バックアップ時間の見積が不要
常に複製データが作成されているため、バックアップ時間を気にする必要がない。

業務への影響を軽減
業務サーバが突然ダウンしても、複製サーバーにアクセスすることで業務のダウンタイムを軽減する事が可能。

遠隔地へのデータ保護が容易
社内ローカルLANや広域WANを意識したデータのリモート保管が可能。

拡張性
名前空間にて共有フォルダを追加することが可能。システムを止める事無く共有フォルダを追加できるので システムの拡張性が容易。

5-4.構成例

*ActiveDirectory 環境がない場合でも、サードパーティー製品による実現も可能。

6.まとめ

この様に、既にサーバーは24 時間365 日稼動が必須になっています。しかし、運用上障害のリスクは拭い切れません。今後、更なるニーズが高まっていくなかで、如何にダウンタイムを短縮出来るかが求められます。
今回ご紹介したものはサーバーの可用性に注目したもので、既にWindows の標準機能で実現できます。
当社は、Windows Storage Server 2008 R2 を搭載しファイルサーバーアプライアンスとした CLASTOR2100-WS を販売開始致しました。
CLASTOR2100-WS はWindows が持つ高機能な資源を有効的に活用し、このクラウド時代に沿うネットワークストレージとして皆様ヘお届け致します。

【関連リンク】
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